2017年3月3日金曜日

琵琶の歴史1~はじめに


   1 -はじめに-


本稿は、1987年に琵琶楽協会誌に連載(ペンネーム田蛙声)したもの、2011年に「日本琵琶楽協会50年の歩み(古澤錦城名)で掲載したもの、或いは、諸々のレクチュアライブでのレジュメ、雑記類を加え、整理して大幅に書き直したものです。 

現在、琵琶の歴史研究も大いに進み、また時の経過と共に、一部内容がそぐわなくなったところもあるかもしれませんが、ひとりの“びわかたりびと”の気ままな記述であり、恣意にわたる点はお許しを得て、ご意見ご批判を頂戴し、今後の学習の糧に出来ればと思う次第です。   古澤月心 
                                                 

琵琶の歴史目次    


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第一話 ビワ フロム シルクロード

(通し番号)           
    2     ① プロローグ
    3     ② シルクロードは日本文化の源流
    4     ③ 絹の道往還の人々と西域の音楽
    5     ④ 長安の街と音楽探訪
    6     ⑤ 長安の庶民の酒場
     

第二話 琵琶東伝    

     
    7      ① 日出(いず)る国
    8      ② 大陸の盲僧琵琶誕生のロマン

 

第三話 盲僧の伝承

    9        ① 盲僧琵琶の始まりを探る
     10         ② 盲僧は何処へ

第四話 王朝の琵琶

       
      11       ①  螺鈿紫檀の五弦琵琶
    12    ②  唐楽の伝来
   13    ③  平安貴族の琵琶
   14    ④  催馬楽から今様へ
   15      ⑤ 末法の世の琵琶楽
                

第五話 平家琵琶

       
    16         ① 平家物語成立前の琵琶法師
    17    ② 平家物語成立後の琵琶法師  
    18           ③ 滋鎮和尚と懺法院
    19    ④ 明石覚一と当道の世界
    20           ⑤ 江戸時代の平曲伝承
    21           ⑥ 明治から現代へ

第六話 近代琵琶

         22         ① 薩摩琵琶                    
         23      ② 薩摩琵琶 (続き)        
         24      ③ 錦心流琵琶の誕生
    25      ④ 筑前琵琶   (近日掲載予定)

 

第七話 現代琵琶 (近日掲載予定) 

 

第八話 エピローグ(近日掲載予定)


 ー平家琵琶を「ユネスコ無形文化遺産登録」へ   

平経正・平忠度の生き様から平家物語が伝えるもの


  ずっと以前の事ですが、私の平曲の師匠、須田誠舟先生から、お稽古の折、聞いた話です。鎌倉の名誉市民の会合にお父様の代理で出席された時のこと、著名な女流作家で同じく名誉市民でもいらっしゃるN先生と親しくお話をする機会があったそうなんです。平家物語の本もいろいろと書いていらっしゃり、また我々一門の平曲指導者でもあった金田一晴彦先生とも親しかったそうです。そのN先生のお話しを、又聞きなのでニューアンスは少し違うかもしれませんが、大変興味深かったので、ご紹介します。

2016年12月28日水曜日

我流~琵琶歌綴り方教室


~ごあいさつ

この欄は、琵琶人(琵琶奏者の方)あるいは、琵琶歌の創作に関心のあるかたのために、参考になればと、私がここ20年間に創作した琵琶歌・漢詩の一部をまな板にのせる積りで設けました。

またその時の創作動機・主人公素描・創作技法などを「琵琶歌創作こぼれ話」として、順次「囲炉裏端・琵琶談義」の中にに載せていきます。併せてご参照くださいませ。

第1 「糺すの森ー鴨長明」 (今平家)

第2  憂国の寅 吉田松陰 (明治もの) 

第3   雪女(小泉八雲 怪談より) (文学もの)

第4   童話琵琶 ピョン太とケロティ~空の大冒険 (児童もの)

第5  晩生~これからを生きる  陶淵明作・帰去来辞より 月心訳 (文学もの/漢詩)

第6  壇ノ浦の戦い (今平家)

第7  今平家 西海慕情~追憶の歌人 建礼門院右京大夫 伊子 (今平家)

第8  炭を売る翁(おきな)) 白楽天「売炭翁」より 月心訳 (文学もの/漢詩)

第9  越の山風~河井継之助 (明治もの)

第10  興国の興廃この一戦にあり~東郷元帥と乃木将軍 (明治もの)

第11 弔奏曲 故人を悼む (今平家)

第12 六代御前 (今平家)

第13 さざなみの別れ~知盛・治部卿局と友章(今平家)

第14 漢詩二題 嗚呼宮部鼎蔵 ・ 河井継之助、八丁沖を渡る

第15 琵琶演劇 耳なし芳一

2016年12月27日火曜日

漢詩絶句 二題  (月心作)     



嗚呼、宮部鼎藏

決然脱藩して、洛陽に向かう

刎頸交わりを結ぶ、勤王の士

君知るや鼎藏、憂国の志

壮図半ばにして、池田屋に倒る

河井継之助八丁沖を渡る

痛恨の落城、奪還を期す

北越の蒼龍、秀眉堅し

三更朧月、八丁沖を渡れば

眼前暁に浮かぶ、長岡城

 






2016年12月26日月曜日

さざなみの別れ~知盛・治部卿局と友章 


             
六甲三渓、(しゅん)()みなぎり、白雲流れる処赤籏(あかはた)あり。北は山麓、南は海、西、一の谷の屏風岩、(ひがし)(まなこ)を転ずれば、緑は深き生田(いくた)の森大手木戸口と定めたり。

時は、寿永三年如月(きさらぎ)七日(なぬか)、未だ明けやらぬ生田川、(あさ)(もや)の流れ、風を(はら)みて、源氏の軍勢押し寄せぬ左岸(さがん)の東に(かく)(よく)の陣、率いる大将軍(たいしょうぐん)(がま)冠者範頼(かじゃのりより)侍大将に梶原平三景時、東国(とうごく)の総勢、五万余騎。

2016年11月24日木曜日

西郷どんと曽祖父と私


924日は西郷隆盛の命日である。この日の夜だけは独り静かに我が敬愛する人を偲ぶことにしている。西郷隆盛の薩摩琵琶歌には、勝海舟が作った名作「城山」がある。もう一遍の秀作は、葛生桂雨(くずうけいう)作の「西郷隆盛」である。いずれも人気のある琵琶歌だ。

大原の里と天台声明~琵琶音曲の源流を求めてそぞろ歩き


かなり以前の話だが、正月休みを利用して妻と京都大原の里に遊んだ。かねてから、琵琶語りの音曲の原点を尋ねて、邦楽の源流となった天台声明(てんだいしょうみょう)発生の地をじっくり歩てみたいという願望があった。正月の混雑を避け、七日、洛北の上流高野川の辺に小宿を取り、翌日朝早めに出発した。そのころは、まだシーズンオフの観光客は少なかった。

2016年11月16日水曜日

真夏の夜のボランテァ~公園で子供たちに琵琶語り



真夏の夜のボランティア~公園で子ども達に琵琶語り

 八月九日の土曜日の夜、子ども達に琵琶弾き語りの野外演奏を行った。

 連夜の蒸し暑さが嘘のようにとれて心地よい涼風が芝生の上を通り抜けていく。空には一隅に暗雲が立ちこめていたがなんとか保ちそうだ。
 実は、二ヶ月前に自然保護の地元のボランティア団体から浜田山の柏の宮公園で、子ども達の夏休みの野外イベント、「夜の生き物観察~夜の探検隊」の締めくくりに、三〇分間何か琵琶の話と音色を聞かせて欲しいと頼まれた。参加者の顔ぶれを尋ねると、保育園児から、幼稚園児が中心でそれに小学校の低学年も混じっている由。

「鴨長明」の追っかけやって25年


「ワタシ、○○さんの大フアンよ」
いい年をしてというと怒られそうだが、全国を股にかけ、追っかけをやっている人たちがいます。皆さん、浮き浮きと本当にたのしそう。あるテレビ番組が、自分の孫のような人気歌手の地方公演で、開場待ちしている初老の奥様方へマイクを向けていました。「これ私たちのささやかな息抜き!彼の公演中、主人なんか眼中にないわ」彼女たちは青春しているのです。画面変わって、彼女の留守宅の旦那へインタビュー。「旦那さん、独りほっとかれて、淋しくないですか」

六代御前(今平家)



謡出)治承の平門(へいもん)(みどり)(しゅん)(えい)を争い、今は木の葉もちりじりに舞うや寿永の(あき)の風。乱世(らんせ)の習いすべもな累代(るいだい)嫡々(ちゃくちゃく)六代と、呼ばれし人行く末は、
(切)散るを急がん沙羅(しゃら)の花(はかな)きことこそ(あわ)れな
(大干)時は文治元年、北条四郎時政は、、平家の子孫を探索し、後顧(こうこ)の憂い断つべしとの鎌倉殿の(めい)を受け、日夜、仕末に追われたり。

2016年11月15日火曜日

皇国の興廃この一戦にあり―東郷元帥と乃木将軍



皇国の興廃この一戦にあり―東郷元帥と乃木将軍

 明治武人(もののふ)、人問わば、身は、敷島の防人(さきもり)と、なりて命は果つるとも一時(ひととき)桜花(さくらばな)、などか散るを()しまんや。
 一(いち)()(わずか)かに西すれば大陸や。風雲急なり遼東(りょうとう)半島、帝国ロシアのニコライ二世は、極東侵略を(あら)わにし、あわよくば、日本列島の山野をも、蹂躙(じゅうりん)せんと(はか)りたり。

薩摩琵琶 越の山風~河井継之助




(謡出)北越(ほくえつ)長岡(ながおか)東山(ひがしやま)悠久山(ゆうきゅうざん)山の上、(みなもと)(とお)き三河の出、祖霊(まつ)(あお)()(やしろ)は、三つ葉(みつば)(かしわ)紋所(もんどころ)(切)教え伝えし常在(じょうざい)戦場(せんじょう)長岡(ながおか)(だましい)(しの)ぶらん

2016年11月14日月曜日

炭を売る翁 白楽天「売炭翁」より古澤月心訳


長安の南に(かす)終南山(しゅうなんざん) 粉雪舞い散るその山奥で

(たきぎ)()りて炭を焼く 白髪(しらが)混じりの(おきな)有り

(しわぶ)顔は(すす)こけて、両手の指は黒ずみぬ

いつも()(ばら)単衣(ひとえ)の着物、生計(たつき)営む悲しさよ
 
三日(みっか)三晩(みばん)は寝ずの晩ようやくいた炭なれど

売値の安きを憂えては、寒さの(つの)を願うなり

(あかつき)早く小屋を出で牛車(ぎっしゃ)積んで街へ出る

(わだち)の氷()き行けば、にはまりて牛あえぐ

夜来(やらい)城外(じょうがい)一尺の雪、(いち)の南門()既に高し

もう一息の辛抱ぞ、べこよ、すぐに()い葉を振る舞うよと

手綱をとりて、(まさ)市に()らんとするその刹那(せつな)

馬蹄(ばてい)の音も軽やかに、駆けつけ来たるそは何者

黄衣(こうい)(すそ)(なび)かせて、従者を連れし宮中(きゅうちゅう)の役人

馬上で巻物読み上げて、(ちょく)(めい)なりと、積荷を召し上げ

牛を駆り立て、車を返し、北の御所(ごしょ)へと向かわしむ

炭の重さは千余斤(せんよきん)代わりは(こうべ)ふんわりと

引っかけられし、わずか半匹(はんぴき)()()一丈(いちじょう)(あや)(ぎぬ)

嗚呼、哀れなるかな、翁の背なに(みぞれ)落つ

酒を愛し、菊を愛した田園詩人 陶淵明


酒を愛し、菊を愛した田園詩人 陶淵明

陶淵明と「帰去来の辞」について 
 
陶淵明は、今から1600年前の中国六朝時代の詩人です。東晋の興寧3年(西暦365年)、江州潯陽柴桑(江西省九江)の生まれ、南朝宋王朝の元嘉4年(427)年、63歳で没しました。丁度日本で言えば、大和朝廷が誕生した頃でした。 

杜甫・李白の時代から言えば、約400年も遡ります。彼は、長じて、官僚生活を送りましたが、37歳の時、母の死に会い3年間の喪に服しました。その後一旦帰任したが、40歳の時、妹の訃報を機に、80日あまりで当時の知事(彭沢の県令)の職を投げうって、田園に帰ったのです。門閥としては、それ程恵まれてもいなく才能よりも門閥が巾をきかせる当時の官僚社会でおべっかを使わねばならぬ役人人生に嫌気がさしていました。

今平家 西海慕情~追憶の歌人 建礼門院右京の大夫 伊子


                        今平家           西 海 慕 情 
  ~追憶の歌人・(けん)礼門院(れいもんいん)右京(うきょうの)太夫(だいぶ)伊子(ただこ) 
(謳い出し)悲しき寿(じゅ)(えい)秋暮れて、今は、はかなき壇ノ浦、(いくさ)余燼(よじん)未だ()めやらぬ、平家追われる京の町、(中干)頃は文治(ぶんじ)二年朝まだき、三条通りを(ひそ)やかに、女車(おんなぐるま)()だし(ぎぬ)(変調)薄靄(うすもや)かかる高野川(たかのがわ)(ただす)の森を打ち過ぎて、八瀬(やせ)街道(かいどう)を忍びなば、(陽戦法(なら)()騒ぐ山陰(やまかげ)や、(ましら)の声か鹿(しか)()か、いと覚束(おぼつか)なくぞ(おぼ)えたる。
(披講調)  岩根ふみ、誰かは問わん楢の葉の
そよぐは鹿の渡るなりけり 大納言(だいなごん)(のすけ)

2016年11月11日金曜日

平家物語と方丈記の関係



          平家物語と方丈記


平家物語の生成―平家の作者は誰か、そしてそれは何時ごろ、どのようにして今の形に出来上がったのでしょうか。このテーマは、まだ完全に解明・実証されておらず、平家の作者一つをとっても今もって大きな謎と言ってもいいでしょう。平家物語の誕生については、兼好法師の書いた徒然草の226段にその一文がありますが、世の研究者はこれを一つの出発点としております。

2016年11月1日火曜日

弔奏 故人を悼む 平曲語り 古澤月心作



    故人を悼む   弔奏・平曲語り 古澤月心作 

祗園(ぎおん)精舎(しょうじゃ)の鐘の声、諸行(しょぎょう)無常(むじょう)の響きあり。
沙羅(さら)双樹(そうじゅ)の花の色、生者(しょうじゃ)必衰(ひっすい)(ことわり)(あらわ)す。
人の世は久しからず、(ただ)、春の夜の夢の如し。 

古来より、長生(ちょうせい)不老(ふろう)(じゅつ)を願い、蓬莱(ほうらい)不死(ふし)の薬を尋るも、未だ、そを見つけたる(ため)し    無し。
天運(てんうん)尽きぬれば、人の(ちから)(かの)うべしとも見えざりけり。悲想(ひそう)八萬(はちまん)(ごう)必滅(ひつめつ)(うれ)いに()う。天人五衰(てんにんごすい)(かな)しみは、人間(にんげん)にも(そう)らひけるものかな。()()(まぼろし)(あいだ)(いとな)み、(すで)流転(るてん)無窮(むきゅう)なり。転生(てんしょう)輪廻(りんね)車輪(しゃりん)(めぐ)るが如し。

此度(こたび)(きみ)突然(とつぜん)()()い、(いま)家族(かぞく)兄弟(けいてい)親族(しんぞく)友人(ひつぎ)に手を()て、哀憐(あいれん)滂沱(ぼうだ)(なみだ)(ぬぐ)わんや。
(ただ)(ねが)わくは、君、安らかに(ねむ)らんことを(いの)るのみ。